問題点多い地方創世

活動日誌
11 /11 2014
 2014.10.27付けの商工新聞に掲載された、京都大学の岡田知弘先生(自治体研究所理事長)の論文を紹介します。たいへん得るものが多い論文です。より多くの方に読んでいただきたいと思っています。

大企業優先路線を転換し地域内再投資力の強化を
 2014年9月に発足した第二次安倍改造内閣は、石破茂前幹事長を地方創生大臣にすえ、9月29曰に開会した臨時国会を、「地方創生国会」としました。ところが、安倍首相の所信表明演説は、鳥取・大山の地ビールや島根・海士町のサザエカレーなどの成功事例を紹介し、「気概」をもつて「やれば、できる」と言うだけの観念的なもの。その中身のなさに『日本経済新聞』ですら、「地方創生、肉付けが課題」と見出しをうたなければならない代物でした(同紙、9月30日付)。
 政府の「地方創生」論の決定的な問題は、なぜ日本の地域経済が衰退しているのか分析されていないところにあります。原因解明をしない間違った処方箋では、問題を解決できないどころか、かえって症状を悪化させてしまいかねません。
 なぜ、大都市も含めて地域は疲弊しているのか。一言でいえば、1980年半ば以降の、経済のグローバル化と構造調整政策(後の構造改革)にあるといえます。1985年のプラザ合意、86年の前川レポー卜をきっかけに、日米貿易摩擦の回避策として、一方で貿易黒字産業であった自動車や家電資本の海外シフ卜を急速に進め、他方で農産物や石炭・鉱産物、繊維品の積極的輸入政策がとられました。
 こうして、大企業を中心とした海外直接投資の増加は、一方で国内工場の閉鎖や縮小、他方で東京都心部にある本社への海外収益の累積的集中に帰結しました。
 前川レポー卜以来、農産物や繊維品等の市場開放と積極的輸入政策、大型店の出店規制の廃止、さらに金融面をはじめとする制度的な規制緩和が次々と行われ、農林業や地場産業、鉱業が顕著に衰退することになりました。また、大型店の規制緩和・廃止により、個人商店は大きな打撃を受けた上、「買い物難民」が急増しました。
 そこに、市町村合併と「三位一体の改革」による地方交付税・補助金削減の重しが、加わりました。役場がなくなることにより、広域合併都市では周辺部の人口扶養力が著しく衰退し、人口減少が加速しました。さらに今年4月以降は、消費税増税が強行され、人々の暮らしも地域経済も疲弊していったのです。
 以上のような危機的な事態を脱出するためには、どうしたらいいのでしょうか。安倍内閣は来春の統一地方選挙を意識して、「地方創生」を掲げて、公共事業を「選択と集中」で展開しながら、「世界で一番、企業が活動しやすい国」をめざして規制緩和による成長戦略をいっそう推進しようとしています。その集大成が、TPP(環太平洋連携協定)です。これでは、先に述べてきた地域経済の疲弊を一層深刻にするだけです。
 だとすれば、何が必要でしょうか。地域経済や地域社会を担っているのは、東京も含めて中小企業・業者や農家、協同組合です。この地域経済・社会の主役である経済主体の地域内再投資力を高めることが最も重要なことです。それを効果的に進めるには農業、製造業、商業、金融業だけでなく、医潦・福祉や環境・国土保全の仕事を連携させる地域内経済循環を太<していくことが必要です。
 そのために国レベルでは多国籍企業優先の政策を転換し、TPPを阻止しながら、中小企業憲章や小規模企業振興基本法の理念を具体化することが必要ですし、地方自治体でも、地域の中小企業や農家、協同組合などの地域内再投資力を量的にも質的にも高める政策に切り替える必要があります。現に、それを推進する中小企業振興基本条例を制定する自治体が150自治体に達し、県レべルでは31と過半数を上回るよぅになりました。
 この条例制定をあらゆる地域に広げるとともに、地域内再投資力を高めるために大止業や金融機関の地域貢献を求めるなど、具体的な施策の発展が求められています。


コメント

非公開コメント

ひららぎ哲也

 27年間の私立高校教員を経て、日本共産党の上越市議会議員になりました。
 学校での教育実践のモットーは「一人ひとりを大切に」。学校の枠を超えて、若者が夢と希望を語れるような上越市を作ろうと、市政改革に挑んでいます。
 明るい街作りは暮らし応援の市政から。市民が主役の上越市政に挑む「ひららぎ哲也」に大きなご支援を!