「慰安婦」問題の真の解決とは

活動日誌
12 /31 2015
 先日、日韓の外相は会談のあとで共同記者会見を行って、日本軍「慰安婦」問題について「合意し、解決した」と発表しました。
 その内容には、慰安婦問題が軍の関与によるものであるとして国家の責任を認めるなど、これまでにない積極的な面もありますが、全体としてはまだまだ大きな問題を残すものとなりました。
 私個人として全体像を捉え評価するには荷が重いので、日本軍「慰安婦」問題解決全国行動と、日本軍「慰安婦」問題の解決を求める弁護士有志の声明を掲載します。ご参考にどうぞ。


声明
被害者不在の「妥結」は「解決」ではない


 12月28日、日韓外相は日本軍「慰安婦」問題について会談し、共同記者会見を開いた。その内容についての評価は、本来、被害者がどう受け止めたかによって判断されるべきであるが、私たちは昨年来、政府に、各国の被害者と支援者が集まった「アジア連帯会議」で採択した、解決のための「日本政府への提言」を提案し、日本軍「慰安婦」問題解決のために取り組んできた団体として、日韓外相会談の結果について以下のようにコメントする。

1, 今回の協議は終始一貫、被害者不在で進められた。それが本日の結果に如実に表れており、「最終的な解決」にするには、被害者にとってあまりにも課題の多いものとなった。とりわけ安全保障政策を重視する米国の圧力のもとで日韓政府が政治的に妥結し、最終的合意としてしまったことは、50年前の日韓基本条約の制定過程を彷彿とさせ、東アジアが現在もなお、米国の支配下にあることを痛感させるできごとであった。

2, 日本政府は、ようやく国家の責任を認めた。安倍政権がこれを認めたことは、四半世紀もの間、屈することなくたたかって来た日本軍「慰安婦」被害者と市民運動が勝ち取った成果である。しかし、責任を認めるには、どのような事実を認定しているのかが重要である。それは即ち「提言」に示した①軍が『慰安所』制度を立案、設置、管理、統制した主体であること、②女性たちが意に反して「慰安婦」にされ、慰安所で強制的な状況におかれたこと、③当時の国際法・国内法に違反した重大な人権侵害であったことを認めなければならないということだ。「軍の関与」を認めるにとどまった今回の発表では、被害者を納得させることはできないであろう。

3, 韓国外相は「平和の碑」(少女像)について、「適切に解決されるよう努力する」と述べた。日本政府が、被害者の気持ちを逆なでする要求を韓国政府に突き付けた結果である。このような勝手な「合意」は、被害者を再び冒涜するものに他ならない。

4,さらに、教育や記憶の継承の措置についてはまったく触れず、国際社会において互いに批判・非難を控えると表明したことは、日韓両国が日本軍「慰安婦」問題を女性の人権問題として捉えていないことの証左であるとともに、被害者の名誉や尊厳の回復に反する発言であり、とうてい認めることはできない。

5, この問題が「最終的かつ不可逆的に解決される」かどうかは、ひとえに今後の日本政府の対応にかかっている。問題が解決されず、蒸し返されてきたのは、被害者が納得できる措置を日本政府がとらず、安倍政権が「河野談話」の見直しを図るなど、政府として歴史の事実を否定する発言を繰り返してきたためであることを認識しなければならない。

6, 日本政府は、被害者不在の政府間の妥結では問題が解決しないことを認識し、以下のような措置をとらなければならない。
① 総理大臣のお詫びと反省は、外相が代読、あるいは大統領に電話でお詫びするといった形ではなく、被害者が謝罪と受け止めることができる形で、改めて首相自身が公式に表明すること。
② 日本国の責任や河野談話で認めた事実に反する発言を公人がした場合に、これに断固として反駁し、ヘイトスピーチに対しても断固とした態度をとること。
③ 名誉と尊厳の回復、心の傷を癒やすための事業には、被害者が何よりも求めている日本政府保有資料の全面公開、国内外でのさらなる資料調査、国内外の被害者および関係者へのヒヤリングを含む真相究明、および義務教育課程の教科書への記述を含む学校及び一般での教育を含めること。
④ アジア・太平洋各地の被害者に対しても、国家の責任を認めて同様の措置をとること。

2015年12月29日
日本軍「慰安婦」問題解決全国行動


日本軍「慰安婦」問題に関する日韓外相会談に対する弁護士有志の声明

1 2015年12月28日、日本の岸田文雄外相と韓国の尹炳世外相は、日本軍「慰安婦」問 題の解決に関する共同記者会見を行った。

2 記者会見において岸田外相は、第一に、「慰安婦」問題が当時の軍の関与の下に多数の 女性の名誉と尊厳を深く傷つけた問題であり、かかる観点から日本政府は責任を痛感していること、安倍首相が日本国の内閣総理大臣として改めて、「慰安婦」として数多の苦 痛を経験され、心身にわたり癒しがたい傷を負われた全ての方々に対し、心からおわびと反省の気持ちを表明する、と述べた。これは、安倍内閣も含めて歴代内閣が踏襲する としてきた河野談話の一節とほぼ同じ表現である。
 これまでの歴史研究や裁判所の判決等の成果を踏まえるならば、日本軍が主体的に「慰 安所」を立案・設置し、管理・統制していた事実や、慰安所での性暴力が国際法や国内法に違反していたことなどを認めることができる。日本政府が今日「慰安婦」問題の事 実と責任に言及するのであれば、これらの研究成果等も踏まえるべきであり、それが被害者の求めていることでもある。その点で、岸田外相の上記言及は不十分と言わざるを 得ない。

3  第二に、日本政府は、韓国政府が設立する財団に日本政府の予算から約10億円を一括して拠出し、日韓両国政府が協力して、「慰安婦」被害者の方々の名誉と尊厳の回復、 心の傷の癒やしのための事業(以下「名誉回復等事業」という。)を行うとしている。しかし、その内容は不明であり、具体化は先送りされたといえる。
(1) 名誉回復等事業の一環として、日本政府が女性のためのアジア平和国民基金(アジア女 性基金)解散後のフォローアップ事業の規模拡大を検討している旨報じられている。しかし、アジア女性基金は国の責任を曖昧にしたとして批判され、韓国の「慰安婦」被害 者の多くがアジア女性基金からの償い金の受領を拒否した経緯がある。そのため、アジア女性基金のフォローアップ事業に対する被害者及び支援者からの批判は強い。したが って、フォローアップ事業を名誉回復等事業として行うべきではない。
(2) そもそも、日本軍「慰安婦」問題解決に最も重要なことは、日本政府が、「慰安婦」へ の加害と被害の事実と、それに対する責任を明確な形で認め、公式に謝罪をすることにある。そして、被害者らが求めているのは、その謝罪の証としての賠償であるし、「慰安 婦」問題の真相究明や、義務教育課程の教科書への記述などの再発防止措置などである。
(3) 賠償に関しては、日本政府は、日韓請求権協定第2条第1項が請求権問題について「完全かつ最終的に解決された」と規定していることにより日本は法的な責任を認めることはできず、また法的な賠償を行うことはできないという説明を繰り返し表明している。
 しかし、このような説明はミスリーディング(誤導的)である。
 日韓請求権協定第 2 条第 1 項は、以下のとおり、日本政府が被害者個人に対する法的 な責任を認め、法的な賠償を行うことについての障害とはならないからである。
 すなわち、中国人「慰安婦」被害者についての事件に関する日本の最高裁判所の判決(2007年4月27日)は、サンフランシスコ講和条約及び日中共同声明の請求権放 棄条項(以下「請求権放棄条項」という。)について、「請求権を実体的に消滅させることまでを意味するものではなく、当該請求権に基づいて裁判上訴求する権能を失わせる にとどまる」と判示した。また、同日に出された中国人強制連行被害者の事件に関して、最高裁は請求権条項に関し上記と同じ論理を述べたうえで、「個別具体的な請求権について、その内容等にかんがみ、加害者側において任意の自発的な対応をすることは妨げられない」と判示した。裁判上の請求は認められないが、裁判手続の外で賠償を受ける法 的権利としては残っているとしたのである。この最高裁の判決の論理は日韓請求権協定第2条第1項の解釈にも妥当する。したがって、同協定第2条第1項は、日本政府が被害者個人に対する法的な責任を認め、法的な賠償を行うことについての障害にならない。ところが、以上の理を、日本政府は、国民や社会に対して十分に説明せず、同協定第2条第1項を理由に法的責任、法的賠償ができないとしてきた。今回、これを改め、日本政府は、最高裁の判断を尊重し、被害者個人の賠償請求権が実体的には消滅していないことを前提に、解決を図るべきである。
(4) 仮に名誉回復等事業が、日本政府の「慰安婦」問題に関する謝罪の証として行われるのであれば、その内容は前記のとおり被害者の要求に適合したものにすべきであり、そのためには、名誉回復等事業の策定過程において、「慰安婦」被害者や支援者の意向を十分に反映すべきである。

4 第三に、日韓両国政府は、名誉回復等事業が着実に実施されるとの前提で、「慰安婦」問題が最終的かつ不可逆的に解決されることを確認したとしている。
(1) 日本軍「慰安婦」問題の最終的解決のためには、日本政府による「慰安婦」に対する加害と被害の事実と責任への具体的な言及と謝罪、謝罪の証としての賠償等が誠実に実施されることがなければならない。前記のとおり、日本政府の事実及び責任への言及は不十分であるし、名誉回復等事業の内容も定まっていない。このような段階で、日韓両国外相の合意により最終的かつ不可逆的に解決したなどということはできないし、最終的な解決を「慰安婦」被害者の頭越しに両政府が取り決めることはできない。
(2) 日本軍「慰安婦」問題の解決のためには、日本政府が心からのおわびと反省の気持ちを表明するだけではなく、それを被害者らに受け入れてもらえるように、日本政府が不断の努力を行動で示すことが必要である。そこには、「慰安婦」の被害実態を否定しようとする言説に対して日本政府が敢然と反駁するなど、日本政府の一貫した姿勢を示すことも含まれている。それらの努力が継続されることで、被害者や遺族や支援者などから信頼を得ることができるのであり、それにより初めて日本軍「慰安婦」問題の最終的解決に近づくのである。両国政府間で「最終的かつ不可逆的に解決されることを確認した」からといって、日本軍「慰安婦」問題が最終的に解決したとは言えない。
(3) 記者会見では、日本軍「慰安婦」問題の最終的かつ不可逆的に解決されたといえるためには、その前提として、日本政府が表明した措置を着実に実施することが必要であるとされている。日本軍「慰安婦」問題が最終的解決に至るか否かは、「慰安婦」に対する加害と被害の事実への具体的な言及と謝罪が行われ、名誉回復等事業の内容が被害者の要求に適合していることを前提に、日本政府がそれを着実に実施することで被害者等の信頼を得ることができるのか否かにかかっているのである。

5 第四に、日本政府は、韓国政府と共に、国連など国際社会において、「慰安婦」問題について互いに非難・批判することは控えるとしている。この点、韓国外相は、「日本政府が表明した措置が着実に実施される」ことを前提としたうえで、互いに非難・批判することは控えると述べている。
 したがって、今後日韓両国政府が相互非難・批判を自制できるか否かは、名誉回復等事業の内容の確定と、日本政府によるその着実な実施にかかっているのである。

6 第五に、韓国政府は、在韓国日本大使館前の少女像に関し、可能な対応方向について関連団体との協議を行う等を通じて、適切に解決されるよう努力する、としている。
 少女像は「慰安婦」被害者を支援する韓国の民間団体が設置したものである。そのため、日韓両国政府が少女像について解決への努力に合意したとしても、その合意自体、当該民間団体を法的に拘束するものではない。
 そもそも少女像は、駐韓日本大使館前で日本軍「慰安婦」問題の解決を求めて行われてきた「水曜デモ」が 1000 回を迎えたことを記念して建てられたものである。その経緯に鑑みれば、少女像の適切な解決のために最も重要なのは、日本政府が日本軍「慰安婦」問題に対する従来の姿勢を改めて事実と責任を明確に認め、日本軍「慰安婦」被害者や支援団体の理解を得ることである。
 記者会見では、少女像の解決への努力は韓国政府が負担することになったとされたが、本来は、日本政府が「慰安婦」被害者や支援団体の理解を得ることができるかどうかによるのである。

7 以上のとおり、日本軍「慰安婦」問題に関して日韓両国外相間で合意が成立したというものの、問題は先送りされておりいまだ問題の解決に至っていない。日本軍「慰安婦」問題の解決は、今後の日韓両国政府及び日韓両国市民の取組にかかっているのであり、今般の日韓外相合意はその出発点に過ぎない。
 日本軍「慰安婦」被害の実態を究明し、これを世界や、後世に伝えていくことは、日本政府が真に事実と責任を認め、謝罪の意思を有していることを示す証であるとともに、未来に向けて二度と同じ過ちを繰り返さず、真に人権が保障される社会を築こうとする決意の表れでもある。それは日本を貶めることではなく、かえって、これこそが日本の目指すべきところである。もとより「慰安婦」被害者は韓国人被害者だけでなく、朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)、中国、台湾、フィリピン、インドネシア、東ティモール、オランダなどの地域に存在する。これらの被害も含めて「慰安婦」被害全体についての事実究明、教育、広報を通じてこそ、日本がいまも人類が克服できていない、戦時の性暴力被害を地上から撲滅する先頭に立つことができる。それこそが日本が目指すべき目標であり、今回の合意はこの目標にかなうものでなければならない。
 私たちは、今回の合意がその目標に向けた新たな取り組みの出発点として、日本政府が、韓国政府の協力のもと、「慰安婦」被害者の要求を踏まえて、「慰安婦」への加害と被害に具体的に言及し、責任を認め、誠実に謝罪をするとともに、その謝罪の証として賠償等の具体的な措置を、被害者が受け入れることができるような内容、形態において、誠実に実施することを強く求めるものである。

2015年12月30日

日本軍「慰安婦」問題の解決を求める弁護士有志(五十音順)
弁護士 足立修一
弁護士 泉澤章
弁護士 伊藤真
弁護士 岩月浩二
弁護士 殷勇基
弁護士 内田雅敏
弁護士 大森典子
弁護士 小野寺信勝
弁護士 川上詩朗
弁護士 姜文江
弁護士 金英功
弁護士 金昌浩
弁護士 金哲敏
弁護士 金奉植
弁護士 金星姫
弁護士 黒岩哲彦
弁護士 後藤富和
弁護士 崔信義
弁護士 在間秀和
弁護士 坂口禎彦
弁護士 澤藤統一郎
弁護士 菅本麻衣子
弁護士 宋惠燕
弁護士 髙崎暢
弁護士 張界満
弁護士 鄭文哲
弁護士 角田由紀子
弁護士 中川重徳
弁護士 西村武彦
弁護士 柏熊志薫
弁護士 迫田登紀子
弁護士 秀嶋ゆかり
弁護士 福留英資
弁護士 穂積剛
弁護士 穂積匡史
弁護士 山本晴太
スポンサーサイト

ひららぎ哲也

 27年間の私立高校教員を経て、日本共産党の上越市議会議員になりました。
 学校での教育実践のモットーは「一人ひとりを大切に」。学校の枠を超えて、若者が夢と希望を語れるような上越市を作ろうと、市政改革に挑んでいます。
 明るい街作りは暮らし応援の市政から。市民が主役の上越市政に挑む「ひららぎ哲也」に大きなご支援を!

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。