紹介します―TPP「大筋合意」の正体

活動日誌
11 /15 2015
TPPが「大筋合意」したと盛んに喧伝されていますが、実はそうではありません。
わかりやすく解説した小論が、2015/11/12付けの商工新聞に掲載されていますので、紹介します。
執筆は、東京大学名誉教授の醍醐聰氏です。

国益侵す TPP「大筋合意」
 米国アトランタで開催されたTPP交渉に参加した12カ国の関係閣僚は10月9日、TPP交渉が「大筋合意」に達したと発表し、これを受けて日本政府は20日、合意内容を公表しました。これを見ると、日本が最重要品目としてきた米については関税とは別枠で米国、オーストラリアから計7万8400トン(13年目以降)の特別輸入枠が新たに設けられました。同じように、小麦については米国、オーストラリア、カナダから25.3万トン(7年目以降)、大麦については6.5万トン(9年目以降)、輸入特別枠が設けられました。
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 しかし、政府はこれらの関税外輸入量と同量の国産米・麦を備蓄用として買い入れることにしています。これでは、米国が錦の御旗にしてきた「自由貿易」とは真逆の、国内需要を度外視した「押し売り商法」に他なりません。
 牛肉については、政府はこれまで日豪二国間合意の関税(19.5~23.5%)を最下限とみなすといってきましたが、今回のTPP合意では9%まで引き下げる(16年目以降)妥協に応じました。豚肉についても、現在 l㌔482円の従量税は10年間で50円へ引き下げ、現在4.3%の従価税は10年間で廃止することに合意しました。
 2013年3月に、日本が自民党内にさえ根強くあった反対・慎重論を押し切ってTPP交渉に参加したとき、自民党ならびに衆参両院の農林水産委員会は「米、麦・豚肉、乳製品、甘味資源作物などの農林水産物の重要品目について、引き続ぎ再生産可能となるよう、除外または再協議の対象とすること。10年を超える期聞をかけた段階的な関税撤廃も含め認めない」と決議しました。上記のような「合意」がこうした決議に違反することは明白です。
 にもかかわらず、安倍首相は10月15日、あろうことか、農業関係者が出席したJA全国大会で「重要品目について、関税撤廃の例外をしっかりと確保した。国益にかなう最善の結果を得られ、約束を守れたと考えている」と臆面もなく語りました。会場から「二枚舌だ」とやじが飛んだのも、むぺなるかなです。
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 問題は農林水産品に限りません。最後まで交渉がもつれた医薬品の特許データの保護期間については8年間とすることで決着したことになっていますが、そこでは、特許出願から5年、審査請求から3年を超過した場合、権利化までに不合理な遅滞があった場内は特許期間延長を認めるという条項が付帯していることを見落としてはなりません。多国籍製薬企業の利害を後押しする米国が、この特許期間延長制度を使って、審査の「不合理な遅滞」を一方的に認定し、8年を超える特許期間の延長を迫ってくることが十分、予想されます。
 しかし、「大筋合意」といっても、この先の各国内での承認手続きは困難が予想されます。米国では識会で審議が始まるのは3カ月後(来年1月以降)で、議会は「大筋合意」が米国の国益にかなったものか、徹底した審査をするものと考えられます 。しかも、民主党内では次期大統領の最有力候補と見られているヒラリー・クリントンは、今回のTPP合意は国内雇用の創出、賃金上昇につながらないとして反対を明言しました。タイでもプラユット暫定首相もソムキット経済担当相もTPP参加に消極的な態度を取っています。
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 日本でも、「大筋合意」で決まりとあきらめるのは早計です。いまから、TPP合意がいかに国会決議に反するものかを分かりやすく伝えるとともに、過去の慣例に従って臨時国会を開かせ、秘密交渉の果ての「大筋合意」の反国民性を徹底的に洗い出して、国会での承認を阻止する運動を盛り上げ、安倍政権の退陣を迫る運動と連携していくことが急務です。
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ひららぎ哲也

 27年間の私立高校教員を経て、日本共産党の上越市議会議員になりました。
 学校での教育実践のモットーは「一人ひとりを大切に」。学校の枠を超えて、若者が夢と希望を語れるような上越市を作ろうと、市政改革に挑んでいます。
 明るい街作りは暮らし応援の市政から。市民が主役の上越市政に挑む「ひららぎ哲也」に大きなご支援を!

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